北海道のクマです

 アイヌ犬にはまった!!ミニ一代おじさん

  大いに吠えるコラム

 2・ミニだけはオレたちが残したいんだ

  

 好きなものを好きだと言い切るには、自信と信念が

 なくてはだめだと思う。北海道のクマさんこと河西氏は、

 公明正大声高に、ミニが好きだと明言するのである

 ミニの将来を心から案じるひとりのオジサンが、あえて

 口を開く異色コラムの第2回今回は、ちょっとホットだ。

 オジサンの核心が少しずつ見え始めてきた

ちよっと困ってるんだ。前回はオレの半生というか、今日までの

道のりを話したんだが、実際に文字になるとなんだか美談ぽく

見えて仕方ない。T村氏のフォローがうまいからなんだよ。

オレはそんなに美しい人生を送ってきちゃいないんだがなぁ。

さて、今回いただいたお題は、どのようにミニに乗って

ほしいとオレが思っているかである。それについて正面切って

話すと、すごく押しつけがましくなりそうなので、そうだな、

ミニの良さから考えていこう。どう乗るかよりどう楽しむか。

ミニってのはそういうクルマなんじゃないかとオレは思うんだ。

ま、オジサンの戯言なので、少しだけ耳を傾けてくれたら

それでいい。ある雑誌で、モータージャーナリストという

輩が、ミニなんて時代錯誤もはなはだしい。もうどうにもならん

クルマだと書いていたのを読んだことがある。

果たしてそうなのだろうか。オレは違うと思ったね。

ミニの存在そのものは、ファッションだよ。すごくおしゃれだ。

クラシカルに仕立てても、新車のままでもミニはミニなんだな。

そう、クルマというよりミニ。ジャンルに分ければ自動車に

属するが、ミニはどこまでいってもミニ以外の何物でもないと

思うんだ。そういう存在感というか力を持ったものって、

他にないよな。例えば最近のクルマなんて、オレにはまったく

区別ができないよ。国産か外車かもわからない。空力とか燃費を

追い求めた結果、どうにも個性がなくなっちゃった。

それだったら1000ccでもミニを選ぶね。この感覚は時代錯誤

なのかな。オレは違うと信じるけど。

いつも考えるんだが、オレがそんなふうに思うミニをつくった

アレック・イシゴニスは本当に素晴らしい人だ。イシゴニスの

優しさとか温もりが反映されているよ。シンプルなラインは

柔らかいボディラインをつくり、なにしろ人に威圧感を与え

ないじゃないか。オレは、この威圧感のなさというか、

存在自体の温かみがすごく重要だと思っている。

どんな使い方をしてもいい。毎日の足にしてもいいし、

ギンギンにフルチューンしてもいい。ただ、気取ってスカして

乗るもんじゃないな。つんけんして運転するのも似合わない。

なんというかな、人が見たときに笑顔が感じられるような

乗り方が、もっともミニらしい。それを粋というんじゃ

ないだろうか。

こんなことがあったな。幹線道路がえらく混んでいて、

脇道に逸れたんだ。そしたら女子校の校門の前に出ちゃった。

運がいいのか悪いのか、ばっちり下校時間と重なっちゃってね。

割と狭いその脇道が女の子たちであふれてしまった。

少々急いでいたから弱ったなと思ってたら、誰かがオレの

ミニ・ピックを見て「キャーかわいい」って言ってくれたんだな。

そしたら、その場にいたほとんどの女の子が振り返って、

ミニを取り囲んだの。そうなったら、悪い気はしないじゃん。

ちょっとお調子者だからさ、このデカイ顔をスライドガラスから

出してピィスピィスって愛想をふりまいてやったの。

そしたら、ブーブーだって。シュンとしちゃったよ。

ま、考えてみりゃミニがかわいかったわけで、このクマ面が

ウケたんじゃないんだよな。渋々顔を引っ込めようとしたら、

ひとりの女子高生が「オジサン、カッコいいじゃん」て

言ってくれた。うれしかったねェ。サンキュサンキュって

答えたら道を開けてくれて、女子高生の花道をゆっくりと

走り去ったのさ。あのときオレがクラクション鳴らしながら

通ったら、ミニまでも嫌われてたと思うんだ。オレは急いでる。

彼女たちも下校時間だ。両者が自分のことだけ考えたら、

絶対にぶつかるよな。そこを、すこしだけ譲ってみると、

ささやかだけど楽しいコミュニケーションが生まれたりする。

それが自然にできちゃうのがミニなんじゃないかな。かわいかったな、

あの、女子高生は。

乗り方っていえば、昔こんなヤツもいたな。嶋ちゃんていう

フォトグラファーで、こいつがまた底なしの大酒呑み。

オレも人のことはいえないが、いちばんすごいときで、

2人でボトル3本。おまけに1.5キロの焼き肉を平らげる

豪傑だった。そいつがミニに乗る姿ってのが、とっても

粋なんだよ。MK1の850だけど、エンジン回す回す。

クーパーSに着いて行こうとするからね、平気で。

それじゃいつか壊すよって言うと、壊れたら直せばいいんだと

カッカ笑う。そりゃマズイぜと思ったけど、誰よりも楽しそうに

乗ってたんだ。ミニから降りてくるときも、インナーハンドルで

ドアを開けたりしない。スライドガラスを引いて外側のハンドルに

手を伸ばして、ガツンとやる。ドアに鍵なんか掛けないんだ。

バンと閉めてスタスタ歩いて行く。大したことじゃないのかも

しれないけど、オレにはカッコよく見えたね。今でもミニから

降りてくるでっかい図体の嶋ちゃんが目に焼きついてるよ。

壊れることを自慢するというか、美徳に思ってる人と時々出会うが、

ナンセンスだよ。あと、床の間に飾ってるんじゃないかと疑うほど

大事にしすぎてる人。レストアしたmk1といったって、ミニは

走ってなんぼじゃないかな。人のミニ見て我がミニ直せ、なんて

言ったヤツもいるが、ちゃんと整備すればmk1やミニ・マーコス

だって大雪の札幌を走れるよ。ミニのパーツは、本当に安くなった。

10年前に比べたら大変なもんだよ。そうゆう時代にミニ乗れるんだから、

車検2回くらいで手放すんじゃなく、しっかり整備して、あと10年

乗ってみようじゃないか。他に乗りたいクルマがあるか?

国産車なんて5年も乗ったらもう換え時過ぎてるって言われちゃうよ。

オレのお客さんで、30年前のミニをレストアしてくれって言った

人がいる。これから先20年乗るために直したいんだと。

現代の交通事情に合わせてつくれば、オレは彼の希望はまず間違いなく

かなえられると思っている。ミニはそうやって乗り続けることが

可能なんだ。そこが大事なんだよ。人生の半分ミニとかかわってきた

間で、ミニにも大きな波がいくつかあった。ディラーが新車の販売を

やめたときなどは、もう終わりだなって本気で考えたよ。商売そのもの

でも何度もピンチがあった。やめようと、何度思ったかなあ。

そんなとき、カミサンが言うんだ。あんたは他に打ち込めるものが

あるの?ってね。継続は力でしょ、と。そうなんだ、いつもミニと

一緒だったんだ。生涯の仕事なんだよ。ミニをいじるのが。

そういうものを持てたことを神に感謝しちゃうよ。

オレはね、本当にミニが好きなんだ。この先80歳になっても

ミニの仕事をしながら生きたいと思っている。本気だよ。でも、

それには努力を惜しんじゃいけない。これまでにいろんな名車が

生まれては消えを繰り返したけど、ミニだけはオレたちが残したいんだ。

今ミニに乗っている人も、これから乗ろうと思う人にも、ミニに

何かを感じ続けてくれれば、オレはうれしい。我々ミニショップが

各地でイベントを開くのも、その何かを絶やしたくないからなんだ。

そうやって日本のミニ文化をますます繁栄させたいと思う。

これは、このオジサンのテーマでもあるんだが、ミニショップが

今後いかにミニ乗りと接して行くか、また業界をどう成長させるかで、

ミニが本当に永遠のベストセラーとなるか、あるいは過去の名車として

消え去るかが決まる時期にある。これは重大だよ。オレは、何としても残したい。

そのためには、みんなで考えなくちゃね。オジサンの頭だけじゃ

堅くてダメだからさ。いい意見があったら連絡してほしい。

オレは札幌にいるよ。

                     つづく